<お菓子暦> 1月-新年に食べたい「花びら餅」
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美味しくたのしく暮らしたい
宮城いくえ
春・夏・秋・冬と、季節の変わり目がわかりやすい日本では、古くから年中行事とお菓子に強い結びつきがあります。
店頭に並ぶお菓子を目にして「春が来たな」という風に、季節の移ろいを感じる方も多いはず。季節の移り変わりにあわせて四季折々のお菓子を楽しむのは、なんとも豊かで楽しい時間ですね。このシリーズでは1月から12月まで、その月にゆかりのあるお菓子を和洋問わずご紹介していきます。
新春に健康長寿を願う「花びら餅」
記念すべき第一回にご紹介するのは「花びら餅」です。ごぼうとお餅(地域によっては求肥)という、ちょっと不思議な食材の組み合わせには平安時代の宮中行事に由来があるとも言われています。
かつての宮中では新年に「歯固(はがため)」と呼ばれる祝儀が行われており、鏡餅、大根、押鮎(おしあゆ)などの硬い食べ物を食べて歯の根を固め、長寿を願ったのだそう。この歯固めの行事食のひとつに「菱葩(ひしはなびら)」というお菓子があります。
菱葩は丸く平らにのした餅(または求肥)に紅い菱餅、大根などを乗せて食べていましたが、それが徐々に簡略化されて現在の「花びら餅」になったと言われています。
味噌餡とごぼうの甘しょっぱいハーモニー
現代の花びら餅は、丸く薄くのした餅や求肥の中心に紅い求肥・味噌餡・甘く煮たごぼうを置き、二つ折りにして包んだものが一般的。紅い求肥が薄い皮から透けて、ほんのりとピンク色に見えるのがかわいらしいですね。
ごぼうの食感と甘しょっぱい味噌餡でおかずのようなお菓子のような、不思議な美味しさが広がります。
年始だけに楽しめる雅な和菓子「花びら餅」
花びら餅は、茶道では初釜(年が明けて最初に行われる茶会)に欠かせないお菓子でもあります。販売期間はお菓子屋さんによりますが、年末から1月初旬あたりまで販売していることが多いようです。
年始にしか食べられない雅なお菓子で、新しい年の訪れを祝ってみませんか?
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宮城いくえ
沖縄県出身|ライター|フォトグラファー |インテリアコーディネーター|美味しいものやインテリア、旅行好き|フレンチブルドッグのごんた&夫と一緒に暮らしています