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ハレの日だけじゃもったいない。普段使いで愛しさが増す金沢の器たち

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# 食器 # 国内旅行

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ハレの日だけじゃもったいない。普段使いで愛しさが増す金沢の器たち

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のびのびと、どこまでも

さきやまみか

九谷焼や工芸の器というと、どんなイメージを思い浮かべますか。
美術館の展示品や、実家の床の間の飾り皿。どこかクラシックで、現代の暮らしには少し距離がある—私自身も、以前はそんな印象を持っていました。

けれど金沢で器を見て回るうちに、その印象は少しずつ変わっていきました。
工芸品や作家ものでも、気負わず使える器が思っていた以上に多かったのです。

器好きな私が金沢を旅して出会った、九谷焼と金沢のテーブルウェアの魅力をお伝えします。

九谷焼ってどんな器?

九谷焼は石川県で受け継がれてきた色絵の器で、「九谷五彩」と呼ばれる赤・青・黄・緑・紫などの鮮やかな色づかいが特徴です。

伝統的なものには原色に近い力強い色合いもありますが、若手作家の器には、淡くやわらかな色彩や、白い余白を生かしたデザインも多く見られます。

作家によって表情が大きく変わるのが魅力のひとつで、色やデザインに惹かれて、思わずウキウキしてしまうような器があります。

「飾る」よりも「日常使い」を意識すると器との距離がもっと近くなる

器を選ぶときに大切にしているのは、日常の中で無理なく使えるかどうか。

手に取ったときに違和感がなく、自然と手が伸びる。使うたびに気分が上がり、それでいて扱いに神経質にならずに済む。そんな器は、気づけば食卓に登場する回数が増えていきます。

購入する際は実際に使う場面も想像しながら選ぶのがおすすめ。和食器だから和食、と決めつけずに好きなものがお皿にのった様子や色の映え方を自由にイメージします。

そうして器を見ていると、暮らしの中にすっと溶け込む”お気に入り”にきっと出会えますよ。

うつわ好きが見つけた、金沢のテーブルウェア

石川県・金沢には作家を育てる仕組みが根付いており、日本各地から作家が集まる街としても知られています。

そんな金沢で訪れたい、おすすめのお店とそこで出会った器たちを紹介します。

「うつわ かきいろ」で出会う、やさしい色の九谷焼

金沢駅からバスで5分ほど。近江町市場の入り口にある「うつわ かきいろ」。

若手作家の九谷焼を中心に、日々の生活の中で普段使いしてもらえるような個性ある器をセレクトしているお店です。喫茶スペースが併設されていて、作家の器でティータイムを楽しむことができます。

店内には、やわらかな色合いやユニークなデザインの器が並び、ひとつひとつ表情が違うので、見入ってしまいます。

「うつわ かきいろ」で出会う、やさしい色の九谷焼。稲積佳谷さんの小ぶりなボウル
稲積佳谷さんのボウル

まず手に取ったのは、稲積佳谷さんの小ぶりなボウル。大胆な絵柄の配置と、内側にきらりと光を含む釉薬の表現が美しい器です。その佇まいに、伝統の延長線上にありながらも、現代の感覚に寄り添う新しさを感じます。

同じデザインのマグカップもありますが、取っ手のないボウルは用途が限定されずに使いやすいです。

「うつわ かきいろ」で出会う、やさしい色の九谷焼。左:永井真美子さんの百花手お猪口 右:永井真美子さんの百花手カップ黒
左:永井真美子さんの百花手お猪口 右:永井真美子さんの百花手カップ黒

以前このお店で迎えた永井麻美子さんの酒器も、高い頻度で使っています。「百花手」と呼ばれる、器一面に花の文様が描かれた器。ほどよく力の抜けた線と、ころんとした柔らかな形が印象的です。手に取るたび、気持ちが和らぎます。

お店の方は、若手作家の多くが「毎日の食卓に合わせやすいこと」を意識して制作していると話してくれました。伝統的な色使いを大切にしながらも、日々の暮らしに自然と馴染む表現へと変化しているのだそうです。

実際に使ってみると、その言葉がよくわかります。華やかさがありながら軽やかで、和洋を問わず食卓にすっとなじんでくれます。

「古道具・器 きりゅう」で見つけた日常使いのアンティーク

「古道具・器 きりゅう」で見つけた日常使いのアンティーク

金沢駅からバスで20分ほどの場所にある「古道具・器 きりゅう」。店内には漆器や陶器がところ狭しと器が並び、江戸時代のものも扱われています。骨董も日々の食卓で自由に使ってほしいという思いが感じられるお店です。

「古道具・器 きりゅう」で見つけた日常使いのアンティーク。白い九谷焼のうつわ

目に留まったのは、絵付け前の白い九谷焼の器でした。昭和30年代の素地だそうで、やわらかく温かみのある白が印象に残ります。

店内には器を自由に組み合わせられるスペースがあります。色のある絵皿を並べ、そこに白いお皿をおいてみました。華やかな九谷焼の中で、白い器がひとつ入るだけで、全体の印象が落ち着きます。

「古道具・器 きりゅう」で見つけた日常使いのアンティーク。白い九谷焼のうつわ

オーナーの桐生さんは歴史のある器も、骨董だからといって宝物のようにしまい込まず日常で使ってほしいと言います。

また「好きなものを好きなように組み合わせればいい」ともおっしゃっていました。アンティークだからと身構えず、気軽に取り入れていい。自由に選べる空気が、この店にはありました。

「古道具・器 きりゅう」で見つけた日常使いのアンティーク。白い輪花の皿、江戸後期の繊細な絵付けの皿、赤い漆塗りの酒器。

こちらで購入したのは白い輪花の皿と、江戸後期の繊細な絵付けの皿をひとつずつ。さらに赤い漆塗りの酒器も選びました。

ちなみに赤い漆器には魔除けの力があるとされています。食卓をぱっと明るくしてくれるうえに、災いを遠ざけてくれるなんて、ちょっと得をした気分になりますよね。

実店舗は金沢市三口新町にありますが、不定休なので訪問前にお電話で確認するのがおすすめです。WEBサイトでも購入できますので、ぜひチェックしてみてくださいね。

「岩本清商店」の軽くて美しい桐のトレー

「岩本清商店」の軽くて美しい桐のトレー

1913年創業の金沢桐工芸の店。ろくろで挽いて作る桐火鉢から始まり、現在はお盆やトレー、コーヒー道具など、日常の暮らしの中で使える桐の道具を制作しています。

工房には小さなショールームが併設されていて、実際に手に取って桐のやわらかな質感や温もりを感じることができます。

器はもちろん、器に合わせて楽しめるテーブルウェアも揃っています。まず手に取ったのは「ランチョンマット 長角 艶無し」。

見た目は重厚ですが、持ち上げると驚くほど軽く、思わずもう一度確かめたくなるほどです。深みのある黒は、表面を焼いて仕上げることで生まれる色合い。焼くことで木目が浮かび上がり、クールな印象の中にやわらかさが宿ります。

普段使いで愛しさが増す金沢の器たち。「岩本清商店」の軽くて美しい桐のトレー

蒔絵も控えめで、さりげなく可愛らしい。金沢の桐工芸では伝統的な蒔絵の装飾ですが、日常使いしやすいように華美なデザインはせず、極力シンプルに仕上げられているそうです。

普段使いで愛しさが増す金沢の器たち。「岩本清商店」の軽くて美しい桐のトレー

九谷焼をのせてみると、器の色がよく引き立ちます。主張しすぎず、それでいて全体を整えてくれる存在です。厚みがあり、ランチョンマットでありながらお盆としても使えるので、キッチンで整えて、そのまま食卓へ運べます。

桐のランチョンマットのお手入れはさっと拭くだけで、長く水に浸けなければ中性洗剤も使えるとのこと。使い込むほどに艶が増していくそうです。

普段使いで愛しさが増す金沢の器たち。「岩本清商店」の軽くて美しい桐のトレー

工房が瓢箪町にあることから、ひょうたんをモチーフにしたトレーもありました。お菓子をのせたり、酒のアテを盛ったり。小物置きとして使う方もいるそうです。

普段使いで愛しさが増す金沢の器たち。「岩本清商店」の軽くて美しい桐のトレー。ひょうたん型。

そっと裏返すと、馬の彫りが施されていました。「瓢箪から駒」という、思いがけない幸運を意味する縁起のよいモチーフです。すべての器に彫りが入っているわけではないそうで、職人さんのさりげない遊び心を感じます。

伝統の技を受け継ぎながら、今の暮らしにも自然となじむ形へと変わってきた桐工芸。実際に手にとると、軽さや使いやすさがよく分かります。

使うほど愛しさが増していく、うつわとの暮らし

普段使いで愛しさが増す金沢の器たち。

金沢で出会った九谷焼の器と、桐のトレー。素材や時代、つくられた背景は異なりますが、どちらにも使い方を決めすぎない大らかさがあります。

思っていたよりも自由で、気負わずに使える作家の器や工芸品は毎日の食卓で自然に使える愛らしい存在です。金沢を訪れる機会があったら、ぜひ現地でお気に入りの器をお迎えしてみてください。

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のびのびと、どこまでも

さきやまみか

都内在住、ちいさな洋菓子店勤務。やんちゃな猫と二人暮らし。お笑いラジオとドーナツが好き。季節を感じるものや、作り手の心がこもったものに惹かれます。

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